5 法蔵菩薩因位時~超発希有大弘誓

↑ 練習した音源(約23分)を入れてみました!
(練習して、録音して、聞き込んでから、やっと やっと 法話をしております。)
下記の内容をプリントに印刷しているので、話の中で「○ページを見てください」というようなことが出てきます。


法蔵菩薩因位時 在世自在王仏所
法蔵菩薩の因位(いんに)の時、世自在王仏(せじざいおうぶつ)の所(みもと)にましまして、

 法蔵菩薩‐仏法を蔵(おさ)めている菩薩
 因位(いんに)‐菩薩が、広大な願いをもって、仏になるための修行をしておられる段階

  ↓
 「人間の世界」を、底の底の底の・・底まで 掘り下げて、「私たちの救い」を考えてくださっている「阿弥陀様の因位の時」
   ↓
 果位(かい)‐「因位」の菩薩の修行が完成し、願いが かなえられて仏になられた位
  ↓
 阿弥陀様
   ↓
 「私たちの救い道」が、「南無阿弥陀仏」というお念仏によって完成された

 因‐物事が起こる「もとになっている事柄」
 果‐因によって生まれた結果
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 法蔵菩薩の「因」は、「国王」
 (一人の国王が、ある時、世自在王仏という仏様の「教え」を聞かれ、深く感動し、「私も世自在王仏のようになりたい!」と、王の位を捨て、国も、財宝や妻子も、すべてを捨てて、出家をし、法蔵菩薩という修行者になられた。)

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 世自在王仏‐智慧と慈悲をそなえた王のように、世間を自由自在に救う仏
   ↓
 法蔵菩薩は、さまざまな仏方(ほとけがた)の国々と、さまざまな迷いの世界を、すべて見通して、「あらゆる人々が救われる道」を見つけようとされた。
 しかし、自分一人の力では、あらゆる仏方の悟りの世界を見通すことができない。
 また、迷える人々は、さまざまな「因‐種」を持ち、さまざまな「縁‐条件」によって、さまざまな「果‐結果」を現し、そのすべてを見極めることは難しかった。
 そこで、世の中のすべてを知り尽くしておられる世自在王仏を、頼りとされた。
 
 ↓

 阿弥陀様が、法蔵菩薩という修行者になられる前、一国の国王であられた時、
世自在王仏の「教え」に、深く感動し、国も、財宝や妻子も、すべてを捨て、出家をし、法蔵菩薩という修行者になられたのでした。
 そして、法蔵菩薩は、世自在王仏の所へ 行かれて、

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覩見(とけん)諸仏浄土因 国土人天(にんでん)之(し)善悪(ぜんまく)
諸仏の浄土の因、国土人天(にんでん)の善悪を覩見(とけん)して、
 諸仏には、必ず 浄土がある
  ↓
 薬師如来‐浄瑠璃(じょうるり)世界 大日如来‐密(みつ)厳(ごん)浄土 毘盧(びる)遮那(しゃな)仏‐蓮華蔵(ぞう)世界 など

 国土‐迷える人々が住んでいる国(「浄土」ではない)
 人天‐天上と人間
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 六道の迷いの世界
 (真宗では、「死後の世界」ではなく、私達の「心の世界」として受け取っている)
 「地獄(じごく)」自分の行いの結果として、経験しなければならなくなる耐え難い苦しみ。「誰とも心を通わすことができない孤独」
 「餓鬼(がき)」満足ができない貪欲(とんよく)のために、無我夢中で貪り続け、自分自身が苦しまなければならなくなる状態。
 「畜生(ちくしょう)」道理に対して無知であるために、互いに争い合い、殺し合って、結果として自分が苦しむことになる。また、考えることを止めて、周りに流されている生き方。
 「阿修羅(あしゅら)」古代のインドでは戦闘をつかさどる鬼神。
    ↓
  自らが起こす怒り・憎しみの心に支配され、かえって自分が傷つき苦しむことになる。

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 「人間(にんげん)」人間らしい感情に支配されて、思い悩む。また、六道の中で、唯一 仏法の教えに耳を傾けられる時。
 「天上(てんじょう)」自分の思い通りにいき、有頂天になっている状態。
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 私たちが現在において、入れ替わり立ち替わり、経験しなければならない苦悩の状態を教えたもの。
 私達は、いろいろなご縁の中で、この「六道の心」をぐるぐる回っている。
 「生死」「生死流転」「流転輪廻」とも いう。

 ↓ 仏教の目指すところ

 出離生死‐生死の苦がある現世を離れて,悟りの境地に入ること。真宗では、お念仏と称え、阿弥陀様を思い起こす時、六道の心から離れことができる。

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  ↓
 善悪 →「迷える人々が住んでいる国(国土)」の「善」と「悪」良いことをすれば、心に安らぎと喜びが与えられ、満ち足りた気持ちになれる。悪いことをすれば、心に苦しみが与えられ、罪悪感で悩むことになる。「それぞれの人」が、「それぞれの行い」によって、「それぞれの世界」を持っている。
 覩見(とけん)
   ↓
 「諸仏の浄土」に対して(法蔵菩薩の修行の問題)
 「その浄土に、どのような仏様がおられて、どのような世界が開けているのか」「どうして、そのような世界を開かれたのか」「その浄土が、どのようにして成り立っているのか」などをはっきりと見究められた

 「国土人天」に対して(人々の行いの問題)
 「花の種」に例えると、人々が、どのような「因‐種」を持っていて、それが、どのような「縁‐条件」によって、芽が出てきて、「果‐花」を咲かせるのか、を はっきりと見究められた

 ↓

「すべての人々が救われる世界」とは、「どのような世界になるのか」、法蔵菩薩は 探し求められた

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二百一十億のさまざまな仏方(ほとけがた)の国々の成り立ちと、迷える人々が住む国々の「因‐原因」「縁‐条件」「果‐結果」の善悪を、はっきりと見究められ、

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建立無上殊勝願 超発希有大弘誓
無上(むじょう)殊勝(しゅしょう)の願を建立し、希有(けう)の大弘誓(だいぐぜい)を超発(ちょうほつ)せり。

 無上‐この上ない
 殊勝‐殊のほか勝(すぐ)れた
 建立‐たてること
 希有‐希にしかないこと
 大弘誓‐広大な誓願 → 菩薩が「一切の衆生の救済」を願って、必ず 成し遂げようと定めた誓い
 超発‐他の仏を超え勝れている

  ↓

 「諸仏がそれぞれの浄土を造られたお心」と違い、法蔵菩薩の願いは、「諸仏の浄土に往生できていない すべての人々を救いたい」という願いであった

 ↓

他の仏を はるかに超え勝れた「諸仏の浄土に往生できていない すべての人々を救う!」という「広大なお誓い」を たてられたのでした。

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今日のお言葉

《 原文 》
法蔵菩薩因位時 在世自在王仏所
覩見諸仏浄土因 国土人天之善悪
建立無上殊勝願 超発希有大弘誓

《 書き下し文 》
法蔵菩薩の因位の時、世自在王仏の所(みもと)にましまして、諸仏の浄土の因、国土人天の善悪を覩見(とけん)して、無上(むじょう)殊勝(しゅしょう)の願を建立し、希有(けう)の大弘(だいぐ)誓(ぜい)を超(ちょう)発(ほつ)せり。

《 意訳 》
 阿弥陀様が、法蔵菩薩という修行者になられる前、一国の国王であられた時、世自在王仏の「教え」に、深く感動し、国も、財宝や妻子も、すべてを捨て、出家をし、法蔵菩薩という修行者になられたのでした。
 そして、法蔵菩薩は、世自在王仏の所へ 行かれて、二百一十億のさまざまな仏方(ほとけがた)の国々の成り立ちと、迷える人々が住む国々の「因‐原因」「縁‐条件」「果‐結果」の善悪をはっきりと見究められ、他の仏を はるかに超え勝(すぐ)れた「諸仏の浄土に往生できていない すべての人々を救う!」という「広大なお誓い」を たてられたのでした。

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